登場人物 ・ジュラハン/ ・ムニェカ/ ・ブァラー/ ・ナイツ/ ・ドブロク/ ・ハルカ/ ・ニヒト/ ・スコル/ ■真夜中のネオン灯る繁華街。 ■そこの路地裏。 外のネオンの明かりが少し入り、その逆光で影が移る。 なにやら倒れた相手に覆いかぶさり、無理やり"行為"及ぼうとしている様子のシルエット。 男(下)「な、なにをするんだよ!やめろ!」 ???(上)「へへへ……お前、いい体だな」 男「(その発言に、サーッと青ざめる)な、なんだよ!!離せ!離せ畜生!」 手が、もがく男の方を押さえる。 ???「(ニタリとわらい)そう、暴れるなって。すぐ天国にイっちまうさ(男にさらに覆いかぶさってゆく)」 男「(真っ青な顔で目を見開き)うっうわぁあああああああああああ!いやだぁあああああああああああ!!!!!」 ■昼のマッドタウン。ムニェカのアパートの前。 二階への階段の隣で談話する、ナイツ、ブァラー、ジュラハン。 ブァラー「(アパートの二階を見上げて)ムニェカちゃん。遅いわね……」 ナイツ「(呆れたように小さく笑って)どうせまた、リボンが決まらなくて鏡の前で悪戦苦闘してるんだろ?」 ブァラー「(ナイツに向かって、悪戯っぽく微笑む)女の子にとって、おしゃれは大切よ。ナイツ君? 特に気になるこの前では、ナイツ君も格好よく見せたいでしょ?」 ナイツ「(ボッ真っ赤になる)バ、バカ。ムニェカはそんなんじゃねーよ」 ブァラー「(クスッと笑う)」 ジュラハン「(ナイツとブァラーに割って入るように)それにしても遅くないか?呼びにいこうぜ!」 ブァラー「(ジュラハンに向かって苦笑)女の子がおめかししてるのを覗くものじゃないわ」 ジュラハン「(うな垂れる)」 ナイツ「(ジュラハンに向かって苦笑)」 カンカンカンという足音。 ムニェカが階段を駆け足で下りてくる。 ムニェカ「(下から二段目ほどで、飛び降りて)おまたせ!リボンが決まらなくって…ごめんねみんな」 ナイツ、ブァラー、ジュラハン、ムニェカのほうを向く。 ナイツ「これで全員そろったな」 ブァラー「(ナイツにこっそりと)ナイツ君の言うとおりだったね」 ナイツ「(恥ずかしそうに目を泳がせる)」 ムニェカ「(首をかしげて)??」 ■誰かの指が、ビシッ!!とジュラハンたちを指差す。 ???「いたで!最重要参考人や!」 ???「違います!最高有力容疑者ですよ!」 声の方向へ振り向くジュラハン達(呆れた顔) 振り返った先に偉そうなポーズで立つハルカ、ニヒト。 ジュラハン「なんだよ!またお前らか!(呆れた顔)」 ナイツ「……またジュラの事か?(げんなりした顔で)」 ジュラハンたちのほうへ、歩み寄るハルカ、ニヒト ムニェカ「(腰に手を当てて、ハルカたちを睨む)ジュラたんをいじめないでよ! ジュラたんはゲイじゃないもん!」 ハルカとニヒト、顔を見合わせてくすっといやらしく笑う。 ハルカ「(ムニェカに合わせてかがみこみ、)お嬢ちゃん、そう胸張っていえるのも今のうちやで?」 ムニェカを筆頭に、眉を寄せるみんな。 ニヒト、なにやら秘密兵器を出すような表情で、何かを取り出す。 ニヒト「コイツを見やがれですよ!(スポーツ新聞記事を押し付ける)」 ■新聞の一面には、なにやらレイプ事件の様子。 ナイツ「(新聞を受け取り)何だ……?」 ブァラー「何これ……くだらな……ッ!?(目を見開く)」 ジュラハン「?おい?どうした?(よくわかってない様子)」 ムニェカ「(ナイツらの後ろで、一生懸命背伸びをして)あーん、なんて書いてあるのか見えないよぅ」 ナイツ「ジュラ……お前……」 ブァラー「ジュラ君……」 ムニェカ「(むくれる)ねえー。なあにー!?ムニェカにも教えてくれたっていいじゃない!」 ハルカ、ニヒト、フッフッフッフと勝ち誇ったように。 ハルカ「そいつに書いてある通りや!此処最近の連続レイプ事件! 『ジーベンの仕業』かて騒がれとるで!」 ニヒト「警察は貴方のことをまだ容疑者としてはいませんが……ま、時間の問題ですね。 囚人の汗色の豚箱生活がまっていますよ」 ■ジュラハン「(眉を吊り上げて)だぁあああああああ!俺じゃねえよ!」 ムニェカ「(ピョンピョン飛び跳ねる)そうだもん!よくわからないけど、ジュラたんはジーベンなんかじゃないもん!」 ニヒト「(いやらしーくわらう)でも、真実が如何であれ、貴方が疑われることに変わりは……へぶっ!?(顔面に何かがあたり、のけぞる)」 顔を押さえて悶えるニヒト。ちょっと焦るハルカ。 ムニェカ「(義手を引っ込めて)ジュラたんを悪く言わないでよ!」 ナイツ「(真剣な顔)しかし、ジュラ……こいつらの言うことも一理あるぞ」 ジュラハン、ムニェカきょとんとした顔。 ブァラー「(真剣な顔)そうよ。たとえジュラ君がジーベンじゃないにしろ、回りの皆はジュラ君のこと、ジーベンだって思ってるんだから……」 ジュラハン「(焦って青ざめた顔)ブ、ブァラー、ナイツ!まさかお前らまで俺のこと……」 ムニェカ「(悲しそうな顔)ナ、ナイツたん……ブァラーたん……?」 ナイツ「ちげえよ!俺たちは違うけど、こいつら(ハルカ、ニヒトを目で見る)含めた、 他の連中はお前のことをジーベン、即ち事件の犯人だって思ってるってことだよ」 ジュラハン「(まだ理解できない様子)え……そ、それの何がヤバいんだよ。俺はやってねえって!」 ブァラー「(呆れたようにため息をついて)ジュラ君のことを疑ってるわけじゃないってば。 ただ、あんなに新聞に大きく書かれちゃってるのに、『違う』っていわれて、ジュラ君だったら信じられる……?」 ジュラハン「(驚いた顔)……………………そ、それは…………」 ニヒト「(呆れた笑顔)やーっと理解しましたか……」 ハルカ「(呆れた顔)此処まで噛み砕かへんと、お前さん分からへんのやなぁ……」 ジュラハン「(ハルカ、ニヒトに向かって殴りかからんばかりの格好)だぁあああ!黙れ!」 ナイツ「(ジュラハンの肩を押さえて)……とにかく、だ。ジュラハン、今日は家の中で大人しくしていた方がいいぞ……?」 ムニェカ「(悲しそうな顔)……ジュ、ジュラたん……」 ブァラー「(ムニェカを気遣うように一度見て、ジュラハンのほうへ向き直る)噂が落ち着くまで……そうしてましょ?」 ジュラハン「(手をぎゅっと握ってうつむく)……………………」 ■カンカンカンカンとまた階段を下りる音。 ドブロクが、お財布を持って降りてくる。 ドブロク「(階段からおり、お財布を持った手を振る)ムニェカ!忘れ物してるぞ……ってうおっ!? (苦手な男性が多いのと、場の空気に驚いた様子)」 ドブロク「(そろりそろりとおっかなびっくり中に入り、ナイツに耳打ち)旦那、一体如何したってんだよ、この空気……」 ナイツ「それが……ジュラが……」 ジュラハン「(ドブロクに飛びつき、肩をつかんで揺さぶる)ド、ドブさんは俺のことを信じてますよね!?ね!?ね!?」 ドブロク「(男性につかまれたのと、ジュラハンの剣幕にテンぱる)ちょ、ちょ!ジュラ公!ジュラ公おちつ……うおぉっ!?(足をもつれさせてよろける)」 ジュラハン「(ドブロクに釣られてよろける)うわぁあ!?」 ドサッと地面に倒れる音。 ドブロク、ジュラハンに押し倒される形で倒れていた。 ドブロク、パニックになり、真っ青な顔でジュラハンの下でもがく。 ドブロク「う、うわああああああああああああああ!やめてくれぇえええええええええええぃいいい!!!!」 ジュラハン「(ドブロクの上で混乱)え!?ちょ!?ドブロクさん!暴れないで……!」 ■ナイツ、ブァラー、ドブロクをなだめようと手を伸ばす。 ハルカ、ニヒトも驚いた顔で様子を見守る。 そこへ誰かがやってくる ???「そこ!何をしている!?強姦の現行犯で逮捕するぞ!!」 全員、声の方向を向いたものの、そのままのポーズで固まる。 スコルが立っている。 スコル、ツカツカとジュラハンのほうへ歩き、無理やりドブロクの上からどかす。 スコル「(かがみこんで)大丈夫ですか?」 ドブロク「(スコルにおびえる)え!?え、ええ……」 スコル「(立ち上がり、ジュラハンのほうを向く)何をやっていたんだ。話して貰おう」 ジュラハン「(スコルの剣幕と、状況にパニックになる)えっと……えと……お、俺じゃないです!!俺はやってねえ!」 スコル、一瞬戸惑うも、尋問を続ける。 まともに答えられない様子のジュラハン。ナイツ達、フォローを入れようとするも、スコルに止められる。 ニヒト「(ハルカに耳打ち)でましたよ。"俺はやってねえ"」 ハルカ「(ニヒトに耳打ち)警官さん、そないな事きいとらへんのに」 スコル「(軽くため息)……ちょっと所まで来てもらおう」 ジュラハンを中心に、その場の全員が驚く。 ナイツ、ブァラー、ムニェカあわててスコルに駆け寄る。 ナイツ「(スコルに詰め寄る)まってください!これは……」 スコル「(ナイツに静かに首を振り)とりあえず、警察署で話を聞きたい」 ジュラハン「(しばらく考え込んだ後、突然駆け出す)だぁあああああああああああ!逮捕なんてされるかよ!!!!!」 ナイツ「ジュラ!(後を追いかける)」 ムニェカ「ジュラたん待って!(後を追いかける)」 ブァラー「ジュラ君だめよ!(後を追いかける)」 スコル「(後を追おうとして転ぶ)待て!!……ぐっ」 スコルが顔を見上げるが、ジュラハンたちを見失ってしまう。 それでも後を追うスコル。 ニヒト、ハルカいったん、顔を見合わせて、ジュラハンたちがかけていった方を見る。 ニヒト「(笑顔で)なにやら大変なことになってしまいましたね……」 ハルカ「(笑顔で)面白そう、やけどな」